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ジークスのプロジェクトを支える「ユーザー目線で考える」ディレクションとは?(後編)

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【前編】ジークスのプロジェクトを支える「ユーザー目線で考える」ディレクションとは?

ジークスのプロジェクト進行における重要要素の1つに「ディレクション」があります。今回登場してもらうのは、より良いコンテンツをつくるために、お客さまとその先にいるユーザーの目線を大切にプロジェクトを進めるディレクター・辰己。後編では、「ユーザーについて考える」をテーマに若手へ向けて行った研修の中身や、ディレクションにおいて大切なこと、今後の展望などについて語ってもらいます。

社内研修を通して「ユーザーについて考える」を体験

現在ジークスでは、新卒2年目までの社員を対象としたマネージャー職による研修を実施しています。開発・クリエイティブのマネージャーたちが講師となり、ジークスらしい仕事のやり方を伝えるためのものです。講師同士で研修内容を検討した結果、クリエイティブの私からは、ユーザーを意識する姿勢の大切さを伝えようという結論に至りました。

じつは、受講者である新卒社員のほとんどは開発メンバー。彼らが普段あまり触れることのないWebディレクションという仕事のあり方を通して、ユーザーについて考えてほしいと思いました。懸命に開発を進めていると、どうしても目線が機能の実現に寄ってしまいがちですが、開発する機能の先には実際に使うユーザーがいる。だからこそ、ユーザーの期待に応えられるパフォーマンスが要求されていると常に意識してほしかったからです。例えば、要件定義書にはレスポンス時間が「3秒」と書いてあったとしても、「ユーザーは3秒も待てない」と考えられるなら、もっと上を目指すことも考えて開発できます。

ただ、ユーザーについて考える点をクリエイティブ目線で語っても、開発者である受講者には響かないかもしれません。ですので、開発者として意識してほしいユーザーとは何かを考えながら、講義内容を練り上げていきました。

全2回中、初回は座学。なぜWebディレクションについて知る必要があるか、またユーザー目線で考えることの意味について説明しました。企画・設計・運用など各フェーズで、開発側とクリエイティブ側が考えていることを対比させながら説明したり、理解が深まるよう工夫しました。

2回目はワークショップを実施。受講者には、テーマに沿ったターゲットユーザーを考えてもらい、ターゲットを意識した「テーマを実現するためのアイデア」を出してもらいました。出したアイデアは、自分がイメージした世界観も伝えて欲しかったので、言葉ではなく画像を複数組み合わせて表現することに挑戦してもらいました。本来は短時間で行う方が訓練になるのですが、この研修で重要なのは、テクニックや知識ではなく、あくまでユーザーについて考える体験をしてもらうことなので、考える時間を長めに取ったり、画面共有や共同編集で他メンバーの様子がリアルタイムでわかるようにするなど、難易度を落として取り組みやすくしました。

辰己 晴彦(タツミ ハルヒコ)

お客さまを巻き込み、プロジェクトを前に進めるディレクション

研修の中でも受講者に伝えましたが、Webディレクションで大切なことは、現場がきちんと動けるようにすること。そしてお客さまにもプロジェクトメンバーとして関わっていただくことです。発注者と受注者の関係は存在しますが、プロジェクトを円滑に進めるためには、お客さまも私たちも、お互いに何ができるかを考え、同じ目線で関わればこそ、良いものをつくることができます。もう一つは、できないことや難しいことに対して、体裁を気にしてできるように取り繕わないこと。自分の言葉で、できること、できないことをお客さまに素直に伝えることを意識しています。

私自身は20代のころから、お客さまと一緒に考えるというスタンスでした。当時、やりとりを見ていたプロジェクトリーダーのSEに、「なんであんなにいろんなことを言えるの? ヒヤヒヤしたよ」と言われたこともあります(笑)。

そして、お客さまとのミーティングの際に実践していることがあります。会議中にお客さまからご要望をいただいたとき、その場でジークスメンバー同士のミーティングを行います。会議中のことなので、私なりに短時間で終わると判断し、実現できそうな方法を考えた上で、同席している担当者にアイデアを相談し始めます。ジークス側が前向きに話し合う姿を見せることで、お客さまにもプロジェクトが前に進もうとしている様子を体験してもらい「ここにいる人はみんなプロジェクトメンバーなんだ」と感じてもらえるといいなと思っています。

ジークスの「あたりまえ品質」向上を目指して

ユーザーについて考えてもらった社内研修では、最も受講者の印象に残った研修として、年度末の社内アワードで賞をいただくことができました。受講者アンケートの回答も見ましたが、伝えたかったことはある程度伝わったかなと思っています。

これから挑戦したいのは、クリエイティブが目指す「あたりまえ品質」の言語化です。メンバーそれぞれのパーソナリティが生かされ、たくさんの良いアイデアが出てくるのがジークスの良さ。一方で「人依存」になる事柄も多く、一定以上の品質をどう恒常的に確保していくかが課題と言えます。業務フローを整理したり、品質を保つためのベースラインを決めたりして、ジークスの「あたりまえ」を底上げし、「あたりまえ」の上にもっと付加価値を付けるための取り組みを続けていきたいと思います。

辰己 晴彦(タツミ ハルヒコ)